
実は、テレビCMの費用は一律ではなく、さまざまな要素によって大きく変動します。
本記事では、テレビCM放映にかかる費用について、わかりやすく徹底解説いたします。
1. テレビCM放映にかかる2つの費用
記憶に残るクリエイティブは、視聴者の興味・関心を高め、購買意欲を喚起します。印象的な映像や音楽、共感できるストーリーを用いることで視聴者の記憶に深く刻まれ、商品やブランドへの好意的な感情を育み、購買行動やブランド選択に大きな影響を及ぼします。
テレビCMを放映するには、大きく分けて「放映費用」と「制作費用」の2つの費用がかかります。
- 放映費用:テレビCMの放映枠を購入する費用
- 制作費用:テレビCMで放映する動画を制作する費用
実は、いずれの費用も一律の料金体系はなく、さまざまな要因によって変動します。
次章から、それぞれの費用がどのような要素で構成されているのかを詳しく解説していきます。
2. 放映費用の基礎知識
前提として抑えておきたいポイントは、テレビCMには「タイムCM」と「スポットCM」という2つの放映手法があるという点です。
それを踏まえ、それぞれの特長および、費用を決める要素を見ていきましょう。
タイムCM
「タイムCM」は、特定の番組のスポンサーとなり、その番組内のCM枠で放映されるCMのことを言います。半年(2クール)単位で契約するのが一般的で、特定の番組視聴者に対して企業やブランドの認知を中長期的に浸透させることが可能です。
「タイムCM」の費用は、主に以下の4つの要素によって決まります。
1) 番組の人気度
タイムCMは番組ごとに放映枠を購入する必要があり、視聴率の高いゴールデンタイム(19〜22時)の番組は視聴者数も多く高額になる傾向があります。一方、早朝や深夜帯など、視聴者数が限られる番組の費用は比較的低めに設定されます。
2) 放映エリア
全国の系列局で放映されるネットタイムか、特定のエリアで放映されるローカルタイムかによっても費用の差があります。全国ネットは、視聴者数が多く影響力も大きいため、費用も高額になる傾向があります。一方で、地方ローカルは、そのエリアでの放映となるため、費用は基本的にネットタイムより低めになります。
3) CM秒数
タイムCMは30秒単位での放映が基本となり、60秒、90秒と秒数が長くなるほど費用も高額になります。
4) 契約期間
通常は、2クール(6ヶ月)単位での契約となり、長期間契約すると総額も増加します。
このように「タイムCM」の費用は、番組の人気度や放映エリア、CM秒数などの要素によって決まり、月額で数百万円から数千万円になります。費用対効果を最大化させるためには、これらの要素を考慮し、自社のターゲット層に合った番組や時間帯をプランニングすることが重要となります。
スポットCM
一方で、「スポットCM」は、番組を指定せず、GRP(延べ視聴率)に基づいて放映枠を購入するCMのことを言います。特定の期間やエリア、時間帯の指定ができ、短期間での認知獲得に有効な手法です。
スポットCMの費用は、主に以下の5つの要素によって決まります。
1) 放映時期
テレビCMの供給量(在庫枠)には限りがあり、費用は需要と供給のバランスによって変動します。商戦期などの需要が高まる時期には費用が上昇する傾向があります。
2) GRP(延べ視聴率)
スポットCMは、GRP(延べ視聴率)の積算値で購入するため、放映量が増えるほど必要な費用も多くなります。
3) 放映エリア
スポットCMは、関東・関西・名古屋などの主要エリアや都道府県単位で指定することが可能で、人口が多いエリアほど必要な費用も高額になります。
4) 時間帯
スポットCMは、放映する時間帯を大きく4つのゾーンで指定することができ、時間帯を限定するほど放映単価は高くなる傾向があります。
※スポットCMの出稿ゾーン
- 全日:曜日・時間帯を問わず放映
- ヨの字:平日朝・昼・夕方・夜・深夜+土日全日に放映
- コの字:平日朝・夕方・夜・深夜+土日全日に放映
- 逆L:平日夜・深夜+土日全日に放映
5) CM秒数
スポットCMは、主に15秒または30秒の枠が設けられており、30秒の方が費用は高額になります。
「スポットCM」の費用は、放映時期や購入する放映量(GPR)、放映エリアなどの要素によって決まり、都道府県単位での放映の場合は年間1,000万円〜、全国放映の場合では年間数億円〜が目安となります。
このように、テレビCMの放映費用は、さまざまな要素によって変動します。
効果的なプロモーションを実現するためには、これらの要素を踏まえた上で、ターゲットや目的に合った精緻なテレビCMプランニングを行うことが重要です。
そしてテレビCMにおいては視聴者に響き、記憶に残るようなCM動画も、ブランドイメージ向上に大きく貢献する重要な要素です。
次章では、高い広告効果を生み出すために重要なテレビCM動画制作の費用構造について、詳しく解説していきます。
3. CM動画制作費用の基礎知識
テレビCMの動画制作費用は、企画や演出内容によって大きく変動します。
有名タレントの起用、大規模なロケーション撮影、高度なCGの利用など、制作費に影響を与える要素は多岐に渡ります。
中でも、特に制作費用に影響を与える代表的な要素は、以下の4つの要素です。
1) タレント起用
タレントの起用は、CM制作費の中でも大きな割合を占める要素の一つです。起用するタレントの知名度や人気、契約期間、人数などによって費用は大きく変動し、数百万円から数千万円、場合によっては億単位に達することもあります。
また、タレント以外にエキストラやナレーターを起用する場合も、別途費用が発生します。
2) 動画形式
テレビCMの動画には、大きく「実写形式」と「アニメーション形式」の2種類があります。
実写形式は、実際の撮影が必要となるため、ロケ地使用料やロケハン費用、許可申請費用などのロケーション費用、スタジオ使用料、撮影スタッフの人件費や機材レンタル費用などが発生します。一方、アニメーション形式は、使用する素材やアニメーションの種類によって費用が変動します。特に、高度なCG技術やデザイン性を求める場合には、制作費用が高額になる傾向があります。
3) 権利関係
テレビCM内で使用する音楽や映像素材には、著作権があります。そのため、著作権者に使用料を支払う必要があります。音楽の場合、既存の楽曲を使用する際には著作権料が発生し、CMオリジナルの楽曲を制作する場合でも、作曲家やミュージシャンへの依頼費用がかかります。
4) 素材数・動画秒数
テレビCM動画の制作費用は、制作する動画の本数や秒数によっても変動します。例えば、15秒のCM動画を1本制作する場合と、30秒のCM動画を2本制作する場合では、後者の方が費用が高くなる傾向があります。
このようにテレビCM動画制作は、企画内容や演出によって費用が大きく変動するため、それぞれの要素を理解しておくことが重要です。
本記事では、テレビCMの費用構造についてご紹介してきました。
そしてテレビCMの費用対効果を最大化するためには、放映費と制作費、それぞれの適切な費用配分も不可欠です。限られた予算の中で、どちらに比重を置くべきかは、目的やターゲット、市場の状況によって異なるため、個別に最適化しながら全体としての調和を取ることが重要です。
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