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テレビCMの効果を最大化する!メリット・デメリット、出稿前に知るべき基礎知識

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インターネットの普及により情報接触の選択肢が増えた現代でも、テレビCMは依然として強力なマーケティングツールです。電通の「2023年 日本の広告費」によれば、2022年のテレビメディア広告費は1兆6,578億円に達しており、全媒体広告費における大きな割合を占めています。これは、デジタル広告市場の拡大にも関わらず、多くの企業が依然としてテレビCMに多額の投資を行っていることを示唆しており、その背景には、テレビCMが持つリーチ力や訴求力への期待が根強く存在すると考えられます。しかし、テレビが持つ効果を最大限に引き出すには、戦略的なアプローチが不可欠です。

本記事では、テレビCMのマーケティングファネルにおける役割から、メリット・デメリット、成功のための戦略までを解説します。

テレビCMを戦略的に活用し、ビジネスの成長を加速させましょう。

1.マーケティングファネルから見る、テレビCMの役割

現代社会において、消費者の購買行動は複雑化しており、商品やサービスの購入に至るまでには、様々な段階を経ています。この過程を段階的に図式化したものが「マーケティングファネル」です。一般的に、このファネルは、認知、興味・関心、比較・検討、購入、リピートという段階に分けられます。

テレビCMは、このマーケティングファネルの最上層、「認知」と「興味・関心」の段階において、非常に大きな役割を果たします。テレビCMは、その特性上、多くの視聴者にアプローチできるため、商品やサービスの存在を広く知ってもらう上で非常に効果的です。

例えば、新商品を発売する際、ターゲット層にまだその商品の存在が知られていなければ、購買には繋がりません。まずは商品名を覚えてもらい、どんな商品なのかを知ってもらう必要があります。テレビCMは、その第一歩を踏み出すための強力なツールとなるのです。

また、既存商品であっても、CMを通じて新たな魅力や使い方を提示することで、消費者の興味・関心を再喚起し、購買意欲を高めることができます。テレビCMは、視覚と聴覚の両方に訴えかけることができるため、商品やサービスの特徴やメリットを印象的に伝えることができます。

ファネル段階テレビCMの役割
認知広いリーチで商品・サービスの存在を知ってもらう
興味・関心印象的な映像と音で視聴者の興味や関心を喚起させ、商品・サービスへの理解を深める
比較・検討WebサイトやSNSへの誘導を通して、詳細情報の提供
購入販売促進キャンペーンと連動させることで、購買の後押し
リピートブランドイメージの向上により、継続的な利用を促進

このように、テレビCMはマーケティングファネルの上層において重要な役割を担い、消費者の購買行動に大きな影響を与えます。

もちろん、テレビCM単体で全てのマーケティング活動を完結させることはできません。WebサイトやSNS、他の広告媒体と連携させることで、相乗効果を生み出し、ファネル全体を効率的に活性化していくことが重要です。

2.テレビCMのメリット

3つのUP効果

テレビCMには、他の広告媒体にはない独自のメリットが存在します。それは「Speed UP」「Scale UP」「Interest UP」の3つのUP効果です。これらの効果を最大限に活用することで、ビジネスを大きく成長させることができます。

  • Speed UP: 迅速な認知度向上
    テレビCMは、瞬時に多くの視聴者に情報を届け、短期間で認知度を向上させることができます。新商品発売時やキャンペーン告知時など、迅速な情報拡散が必要な際に効果的です。例えば、新商品のお菓子を発売する際に、テレビCMを集中投下することで、発売と同時に多くの消費者に商品名を認知させ、購買意欲を高めることができます。 Web広告やSNSなどと比較しても、圧倒的なリーチ力を持つテレビCMは、短期間で多くの人の目に触れるため、特に時間的制約のあるプロモーション等においては非常に有効です。
  • Scale UP: 多様な顧客層へのアプローチ
    テレビは幅広い年齢層や性別にリーチできるため、多様な顧客層へのアプローチが可能です。特定のターゲット層だけでなく、潜在顧客への訴求も期待できます。 マスメディアであるテレビの特性を活かし、特定の層を狙い撃ちするのではなく、潜在層含めこれまでリーチできなかった層への訴求を実現することができます。Web広告ではCookie情報などを用いてターゲティングを行うことが多いですが、テレビCMは幅広い層にアプローチができるため、まだ自社の商品やサービスに興味を持っていない潜在顧客への訴求も可能となり、新たな顧客の獲得に繋がります。またテレビCMで得た認知や好印象は、消費者の購買行動における重要な土台となり、他のマーケティング施策の効果を高める相乗効果も期待できます。
  • Interest UP: 無意識への訴求と新たな顧客層の開拓
    テレビは受動的なメディアであるため、視聴者が意識せずとも情報が伝達されます。「ながら視聴」をしている層にもアプローチできる可能性があり、新たな顧客層の開拓に繋がります。家事をしながら、あるいは他の作業をしながらテレビを視聴している人々にも、CMの情報は自然と耳に入り、記憶に残ります。 例えば、ある日用品メーカーが、日常生活で使用する商品のCMを繰り返し放映することで、視聴者は無意識のうちに商品名を記憶し、スーパーなどで商品を見かけた際に購入に至るケースも少なくありません。 また、印象的な音楽やビジュアルを用いることで、視聴者の感情に訴えかけることも可能です。

信頼性の向上

3つのUP効果に加えて、テレビCMは企業や商品・サービスの「信頼性の向上」に貢献します。テレビCMで宣伝されている商品は、多くの人の目に触れられるため、一定水準以上の品質が求められます。だからこそ、消費者はCMで宣伝されている商品に対して安心感を抱き、購入意欲を高めるのです。これは、BtoC企業だけでなく、BtoB企業にとっても同様です。高品質な製品やサービスを提供していることをアピールすることで、取引先の信頼を獲得し、ビジネスチャンスを広げることができるでしょう。
さらに、CSR活動や社会貢献活動を取り上げたテレビCMは、企業の倫理観や社会的な責任をアピールする場としても有効です。このようなCMは、企業イメージの向上に繋がり、消費者からの共感や支持を得やすくなります。

感情への訴求

テレビCMは「感情への訴求」も得意としています。印象的な映像や音楽を組み合わせることで、視聴者の感情に訴えかけ、記憶に残るCMを制作できます。
例えば、ある飲料メーカーのCM。キンキンに冷えたグラスに注がれる様子、一口飲んだ時の爽快感、そして仲間と過ごす楽しいひととき。見ているだけで、夏の暑さを忘れ、楽しい気分にさせてくれますよね。これはまさに、視覚と聴覚の力を最大限に活用した「感情への訴求」です。
このようにテレビCMは、商品やサービスの機能や価格といった情報だけでなく、それを使うことで得られる体験や感情を、視聴者に鮮やかにイメージさせます。だからこそ、私たちはCMに心を動かされ、商品に愛着を抱き、ブランドに共感するのです。

これらのメリットを踏まえ、自社のマーケティング戦略においてテレビCMをどのように活用していくかを検討することが重要です。

3.テレビCMのデメリット

制作費・放映費の負担が大きい

テレビCMは多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。そのひとつとして、テレビCMは他の広告媒体と比較して制作費と放映費が高額になる傾向があります。一般的に、テレビCMの制作・放映には最低でも数百万円の予算が必要と言われています。高品質な映像制作や人気番組へのCM出稿には、多大な費用がかかるため、予算が限られている企業にとっては大きな負担となる可能性があります。特に、全国放送となると費用はさらに高額になります。

しかし、これらの費用は、効果的なCM制作と戦略的なメディアプランニングによって投資へと転換することができます。テレビCMは、「テレビCMを実施している」という事実自体が、企業イメージの向上に貢献するケースも少なくありません。テレビCMは、一定の財務基盤と事業規模を持つ企業であることを示唆し、企業に箔をつけ、信頼感を高める効果が期待できます。もちろん、費用対効果を最大化するためには、綿密な市場調査、明確なターゲット設定、そして質の高いCM制作が不可欠です。費用面をデメリットとして捉えるのではなく、戦略的な投資と捉え、中長期的な視点でCMの効果を評価することで、大きなリターンを得られる可能性が高まります。

正確な費用対効果(ROI)把握が難しい

従来のテレビCMは、視聴率データなどを参考に効果を推測するものの、Web広告のように正確な費用対効果(ROI)を測定することが難しいという課題があります。視聴者がCMを視聴した後に、実際に商品を購入したか、あるいはWebサイトにアクセスしたかといった行動を直接的に追跡することが困難なためです。そのため、CMの効果を定量的に評価し、改善につなげるのが難しいという側面があります。

そこで上記のような費用面や効果測定の難しさといった課題に対し、近年注目を集めているのが「運用型テレビCM」です。デジタル技術を活用することで、従来のテレビCMよりも詳細なターゲティングや効果測定が可能となり、費用対効果の最適化を実現できる可能性を秘めています。視聴データやWeb行動データなどを組み合わせることで、特定の属性の視聴者に絞ってCMを配信したり、CM視聴後のWebサイトへのアクセス数やコンバージョン数を計測したりすることが可能になります。これにより、より効率的な予算配分と効果的なCM運用を実現し、費用対効果の最大化を目指すことができるのです。

特定の層へのターゲティングが難しい

テレビCMは、マスメディアであるがゆえに、インターネット広告のように詳細なターゲティングを行うことが難しいという側面があります。特定の年齢層や性別、興味関心などに絞り込んで広告配信をすることは、Web広告では容易に実現できますが、テレビCMではそうはいきません。例えば、20代女性向けの化粧品の新商品を発売する場合、Web広告であれば、20代女性が頻繁に訪れるサイトやアプリに絞って広告を表示させることができます。しかし、テレビCMでは、特定の番組を選んでCMを放映したとしても、その番組の視聴者層がすべて20代女性であるとは限りません。

しかし、特定の層へのリーチが難しいということは裏を返せば、幅広い層へのリーチが可能であるということです。これは、潜在顧客の開拓という点で大きなメリットとなります。Web広告ではリーチできない層にもアプローチできる可能性があり、新たな顧客層の獲得に繋がる可能性を秘めているのです。

4.テレビCMの効果最大化のための戦略

テレビCMは、費用対効果を高め、目標達成に繋げるためには戦略的なアプローチが必要です。ここでは、効果的な戦略を3つのポイントに絞って解説します。

明確なターゲット設定

テレビCMを成功させるためには、まず誰にメッセージを届けたいのかを明確にすることが重要です。漠然と「多くの人に見てもらいたい」と考えるのではなく、具体的なターゲット像を設定することで、CMの内容や放映枠を最適化し、費用対効果を最大化できます。
誰に何を伝えたいのか?年齢、性別、ライフスタイル、興味関心など、具体的なターゲット像(ペルソナ)を設定することで、一貫した戦略のもと、CMの内容やクリエイティブ・メディア戦略に落とし込んでいくことが可能になるのです。

例えば、既存のターゲットを狙いたいのか、新規でこれまで獲得できていないターゲットを狙いに行くのかでもアプローチ方法は異なります。既存顧客の深耕を狙う場合は、既存顧客の属性や購買履歴などを分析し、よりニーズに合ったメッセージを伝える必要があります。一方、新規顧客の獲得を目指す場合は、潜在顧客の属性や行動パターンなどを分析し、商品やサービスの魅力を効果的に伝える必要があります。また、競合他社のCMのターゲットを分析することで、自社のCMのターゲティング戦略をより精緻化することも可能です。

このように、ターゲット設定は多角的な視点から行う必要があり、その設定次第でCMの成否が大きく左右されます。具体的なターゲット像を明確にすることで、より効果的なCM制作が可能になるのです。

最適なメディアプランニング

最適なメディアプランニングは、CMの費用対効果を最大化するために非常に重要です。単にCMを放映するだけでなく、ターゲット層の視聴習慣、予算、そして広告の目的を綿密に分析し、戦略的にプランニングする必要があります。

  • ターゲット視聴者の分析:視聴率データ、時間帯、競合分析等を活用し、ターゲット層へのリーチを最大化します。
  • 予算配分の最適化:費用対効果シミュレーション、スポット/タイムCMの使い分け、地域ターゲティングで予算効率を高めます。
  • 広告目的の明確化:認知度向上、購買意欲促進、ブランドイメージ向上など、目的に応じたプランニングと効果測定を設計しましょう。

PDCAサイクルを回し、効果を最大化

テレビCMは、一度放映したら終わりではなく、PDCAサイクルを回すことで効果を最大化することが重要です。PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つの段階を繰り返すことで、継続的に改善していく手法のことです。テレビCMにおいても、このPDCAサイクルを適用することで、費用対効果を高め、より効果的なCMを制作・放映することが可能になります。

テレビCMの効果を最大化するには、中でも特にCheck(評価)とAction(改善)を重視することが重要です。もちろんPlan(計画)とDo(実行)も必要ですが、一度放映したら終わりではなく、継続的な評価と改善こそが費用対効果を高め、より効果的なCMを実現する鍵となります。近年は運用型テレビCMが登場し、デジタル技術を活用した詳細な効果測定が可能になっています。視聴データやWeb行動データと組み合わせることで、CM視聴後のWebサイトアクセス数やコンバージョン数を計測し、精緻な効果検証が可能になります。このCheck段階で見つかった問題点や課題に基づき、具体的な改善策を実施する、それがActionです。例えば、ターゲット層に響いていない場合はメッセージやクリエイティブを変更し、放映枠が適切でない場合は変更します。重要なのは、一度の改善で終わらせず、PDCAサイクルを継続的に回し、CheckとActionを繰り返すことです。これにより、市場の変化や視聴者の動向に合わせた柔軟なCM展開が可能になり、常に最適な状態を維持し、マーケティング目標の達成に大きく貢献します。

他施策と連携し、ファネル下層への誘導を促進

テレビCMで「認知・興味」を高めた後、確実に購買へとつなげていくには、他施策との連携が重要となります。

  • Webサイト誘導: CM内でキーワードなどを明示し、詳細情報へ誘導します。
  • SNS連携: ハッシュタグキャンペーンやインフルエンサー活用で口コミ拡散&関係構築を狙います。
  • 販売促進: 限定クーポンやプレゼントキャンペーンで購買意欲を高めます。
  • 店舗連携: 店頭プロモーションや情報提供で来店を促します。
  • 他媒体連携: Web広告などで情報を補完し、相乗効果を狙います。

これらの施策を組み合わせ、統合的な戦略でファネル下層へ誘導し、購買・リピートにつなげましょう。

5.テレビCMで成功するためのポイント

テレビCMは、高いリーチ力と訴求力を持つ強力なマーケティングツールですが、その効果を最大限に発揮するには、戦略的なプランニングと実行が不可欠です。この記事で解説したメリット・デメリット、そしてマーケティングファネルにおける役割を踏まえ、成功のためのポイントを改めて確認しましょう。
テレビCMは一度放映したら終わりではなく、継続的な改善が必要です。運用型テレビCMなどを活用し、視聴データやWeb行動データを分析することで費用対効果を正確に測定し、PDCAサイクルを回し、市場の変化や視聴者の動向に合わせた柔軟なCM展開を行いましょう。

「テレシー」は本記事でご紹介したポイントを踏まえ、クライアント企業の課題に対して、運用型テレビCMを軸とした統合的なマーケティング・コミュニケーションサービスを提供しています。戦略策定からCMクリエイティブの企画制作、メディアプラニング、効果分析まで一気通貫して、クライアント企業に伴走し事業成長に貢献します。

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