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テレビCMのメディアバイイングとは?基礎知識・成功のポイントを解説

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テレビCMは、商品やサービスの認知度を高める上で今も大きな影響力を持つメディアです。しかし、ただCMを放映するだけでは十分な効果は得られません。その成功は、「メディアバイイング」をいかに戦略的に行うかにかかっています。
本記事では、このメディアバイイングの基礎知識から、テレビCMのバイイングを成功に導くためのプロセスや重要なポイントまで詳しく解説します。この記事を通じて、運用型テレビCMを活用した事業成長へのヒントを見つけていただければ幸いです。

1. メディアバイイングとは?

メディアバイイングとは、企業が自社の広告を最も効果的に届けるために、多種多様なメディアの広告枠を戦略的に選定・購入するプロセスです。
テレビ、新聞、雑誌といった従来のマスメディアから、ウェブサイトやSNSなどのデジタルメディアまで、広告の選択肢は大きく広がっています。その中で、メディアバイイングは、単に広告枠を買い付けるだけでなく、ターゲットに合わせた媒体を選び、適切なタイミングで適切な場所に広告を掲載することで、ブランドやサービスの認知度を高め、具体的な行動へとつなげる道筋を作ります。
この活動の最終的なゴールは、限られた予算を最大限に活かし、データ分析を取り入れながら広告の費用対効果(ROI)を高めることです。現代の複雑化したメディア環境では、専門的な知識と戦略的な思考が求められ、このプロセスをいかに効率よく実行できるかが、マーケティングの成功を左右すると言えるでしょう。

メディアバイイングとメディアプランニングの定義・違い

メディアバイイングとメディアプランニングは、広告戦略を立てる上で欠かせないプロセスですが、それぞれ役割が異なります。

メディアプランニングとは?

広告の目標やターゲット、予算を基に、どのメディアをどのように組み合わせて利用するかという全体戦略を設計するプロセスです。「誰に、何を、いつ伝えるか」を考え、最適なメディアプランを構築します。

  • ターゲットが若年層であればSNSや動画配信サービスを、シニア層であればテレビや新聞を検討する。
  • 新商品の認知度を高めたいならテレビCMや屋外広告を、Webサイトへのアクセスを増やしたいならリスティング広告やディスプレイ広告を検討する。

このように、メディアプランニングは広告戦略の「設計図」を作る段階と言えます。

メディアバイイングとは?

メディアプランニングで策定された戦略に基づき、実際に広告枠を選定・購入するプロセスです。広告主の目的を達成するために、最適な価格や条件で効率的に広告枠を確保することが主な役割となります。

  • テレビCMを放映する場合、どの放送局のどの番組、どの時間帯にCMを流すかを選定し、交渉して枠を購入する。
  • ウェブ広告の場合、どの媒体の、どの広告フォーマットを、いくらで購入するかを決定する。

メディアバイイングは、メディアプランニングの「設計図」通りに「資材(広告枠)」を「調達」する段階と言えます。

2. テレビCMのバイイングとは?

ここまで、メディアバイイングやプランニングの概要をご説明しましたが、ここからはコラムの核となるテレビCMに焦点を当て、より深く掘り下げていきましょう。

テレビCMのバイイングの種類(タイムCM・スポットCM)

テレビCMのバイイングには、主に「タイムCM」と「スポットCM」の2種類があります。

  • タイムCM: 特定の番組のスポンサーとなり、その番組内でCMを放映する形式です。番組のオープニングやエンディング、途中のCM枠で放映されるほか、番組提供社のテロップも表示されます。
  • スポットCM: 特定の番組を指定せず、期間と時間帯を設定してCMを放映する形式です。一定期間にわたって、広範囲の視聴者へアプローチしたい場合に適しています。

関連記事:タイムCMとスポットCMの違いとは?特長・効果的な出稿戦略・効果分析を解説 - テレシー(TELECY) - 運用型テレビCMを軸として総合コミュニケーションサービスを提供

テレビCMのバイイング方法と放映パターン

タイムCMとスポットCMでは、バイイング方法が異なります。

  • タイムCM: CMを流したい番組と、CMの秒数(30秒、60秒など)を指定して購入します。人気の番組は競合が多いため、早めの交渉が必要となる場合があります。
  • スポットCM: エリア、放映期間、放送局、規模(予算やGRP)、CMの秒数(15秒~)などを指定して購入します。特に、放映の時間帯には複数のパターンがあり、目的によって使い分けられています。
    • 全日型: 24時間まんべんなくCMを放映するパターンです。特定のターゲット層に絞らず、幅広い層にリーチしたい場合に適しています。
    • コの字: 朝と夜の視聴率が高い時間帯に集中してCMを放映するパターンです。出勤・帰宅前のビジネス層や主婦層など、特定の層に効果的にリーチできる可能性があります。
    • ヨの字: 朝、昼、夜の視聴率が高い時間帯にCMを放映するパターンです。一日の生活サイクルの中で複数回CMを接触させることで、刷り込み効果を高める場合に有効です。

3. テレビCMのバイイングを成功させるための重要事項とプロセス

テレビCMのバイイングは、単に広告枠を買い付けるだけでは十分な効果は得られません。成功には、緻密な計画と戦略的な視点が不可欠です。ここでは、そのプロセスと成功のために押さえるべき重要なポイントを解説します。

1). 成功に不可欠な3つの重要事項

テレビCMのバイイングにおいて、成功を左右する重要な要素は以下の3点です。

  • 放送局との交渉力と関係性:放送局は限られた広告枠を複数の広告主や代理店に販売しているため、良好な関係性と高い交渉力が重要です。単なる価格交渉に留まらず、広告主の目的を深く理解した上で「なぜこの枠が必要なのか」というストーリーを伝えることで、希望する条件での枠確保や、柔軟な対応を引き出しやすくなります。放送局との強固なパイプを持つ専門家の存在は、成功を大きく左右します
  • データに基づいた戦略的な判断:勘や経験だけに頼るのではなく、客観的なデータに基づいた判断が不可欠です。最新の視聴率データや市場動向、競合他社の出稿状況などを詳細に分析することで、費用対効果の高い最適な枠を選定できます。データは、最も効率的にターゲットにリーチするための羅針盤となります。
  • 広告主の意図を正確に伝えること:CMを放映する目的や、クリエイティブに込められた意図をバイイング担当者が深く理解し、放送局へ正確に伝えることで、より効果的な広告プランが実現します。

2). テレビCMのバイイングのプロセス

上記の重要事項を踏まえ、テレビCMのバイイングは以下のプロセスで進められます。

  • 目標設定(目的・KPI・ターゲット):誰にCMを届けたいのかを明確にすることが、すべての出発点です。性別、年齢、居住地、ライフスタイルといった詳細なターゲット情報を設定し、予算やKPI(重要業績評価指標)を具体的に定めることで、放送局側も最適な提案をしやすくなります。
  • 枠の選定(番組編成・時間帯・ターゲット接触傾向):設定した目標に基づき、ターゲット層が最も視聴する番組や時間帯を選定します。CMクリエイティブの内容を深く理解し、そのメッセージが最も響く番組編成や時間帯を見極めることが重要です。
  • 見積取得と交渉:選定した枠の見積もりを取得し、放送局と条件交渉を行います。放送局は限られた広告枠を販売しているため、この段階での交渉力が成功を左右します。
  • 出稿スケジュール決定:交渉が成立したら、CMの放映スケジュールを最終決定します。
  • 効果測定:CM放映後、事前に設定したKPIに基づいて効果測定を行います。単発で終わらせるのではなく、この効果測定の結果を次のCM戦略に活かすことで、継続的なPDCAサイクルを回すことが可能になります。

3). 運用型テレビCMにおける効果的なPDCAサイクル

ここまで、テレビCMのバイイングを成功させるためのプロセスや重要事項について解説してきました。バイイングは単に広告枠を買い付けて終わりではなく、放映後の効果検証と改善までを含めて一貫したプロセスとして捉えることが、CM効果を最大限に引き出す上で不可欠な要素となります。放映後に得られるデータを基に、CMの出稿プランを柔軟に調整し、継続的な成果向上につなげることが非常に大切です。

「テレシーアナリティクス」は、広告主の目的に応じた独自の2つの分析手法を駆使し、膨大なデータを精緻に分析します。これにより、放送局や放映エリア、放映時間、番組、さらにクリエイティブごとの効果を定量的に測定でき、各要素における広告効果を詳細に把握することが可能です。このようにして得られたデータを活用し、テレビCMのPDCAサイクルを効率的に回し、広告効果を最大化するための戦略立案・実行が可能となります。

関連記事:テレビCMの効果測定指標・方法とは?最新の手法とPDCAサイクルを解説 - テレシー(TELECY) - 運用型テレビCMを軸として総合コミュニケーションサービスを提供

テレビCMのバイイングを成功させるには、本記事で解説したように、多岐にわたる専門知識と実行力が求められます。ターゲット設定から効果測定、そして継続的なPDCAサイクルを回すプロセスは、すべて自社だけで遂行するには、多大な時間と専門的な知見、さらには放送局との人脈が必要となります。
特に、データに基づいた戦略的なテレビCM運用は、専門家である広告代理店に相談しながら進めることをおすすめします。

「テレシー」は本記事でご紹介したポイントを踏まえ、クライアント企業の課題に対して、運用型テレビCMを軸とした統合的なマーケティング・コミュニケーションサービスを提供しています。戦略策定からCMクリエイティブの企画制作、メディアプラニング、効果分析まで一気通貫して、クライアント企業に伴走し事業成長に貢献します。

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